前回、欠陥には「現象」と「原因」の二つの概念があることをお話ししました。
それを踏まえ、巷には「#ホームインスペクション(住宅診断)」と「#欠陥住宅検査」と言うものがありますが、
調査会社によりその取扱いや範囲、表現はまったく異なります。
そのため、当事務所では明確にこの二つのメニューを異なるものとして扱っております。
何が違うのか?
ここを明確にしておくことは、お住まいを調べてもらいたいと考えたときに、何を依頼すべきかが見えてきます。
この欠陥という所からの側面で、住宅診断(ホームインスペクション)と欠陥住宅検査の違いをお話しします。
#お住まいを調べる ことには劣化と言う側面もありますが、ここでは欠陥に基づいたものとします。
【ホームインスペクションとは】
欠陥の現象ないし現象が起こり得る状態を探し出す調査であると、当事務所では位置付けております。
お客様が通常訴える「#雨漏りしている。」「#ビー玉が転がる。」「#家が揺れる。」「#扉が閉まらないなど、支障が生じているものや生じる可能性のある状態を見つけ出すものと言って良いでしょう。
これら #欠陥現象 が生じている理由(欠陥原因)は問うものではなく、
また、その原因を追究するのではなく、現に、気付いていなかった現象が生じている事、
現象が生じてしまう恐れがあること、潜在的に #欠陥原因 が内包している可能性があることなどの一般的ではない状態を示唆するものです。
簡単には、健康診断的役割と言えます。
これはまさに健康診断を思い浮かべて頂ければわかりやすいですが、
触診、問診、レントゲンなどによって、何らかの現象が生じていることを見つけることと同じで、
また、その程度も「肺に影があるから精密検査を受けてください。」とするものと同じに考えれば良いでしょう。
すなわち、なんの病か?、病気なのか?といったことを明らかにするのではなく、あくまで示唆して注意喚起するものと捉えられます。
そのようにして体全体もしくは主要部を広く浅く、簡易に調べる事で安価でもあります。
【欠陥住宅検査とは】
欠陥の原因を探し出す検査と言えます。。
上述した「ビー玉が転がる。」などの現象が起きている理由を調べるもので、
ビー玉が転がるという事実を探し出すのではありません。
このビー玉が転がるのは家が傾いたから(他にも考えられます。)であり、その傾いた理由を突き止め、
それがあるべき状態とどのように異なっているのかといった、根拠との相違点を突き止めるものになります。
すなわち、「ビー玉が転がる。」という現象は、
単に欠陥の原因を見つけ出すためのきっかけでしかなく、見つけやすくしているだけと言えます。
上述の健康診断で言えば、健康診断により示唆された現象の理由を、
血液検査や他のそれ様の検査を用いた精密検査によって、病名を突き止めます。
この二つの違いは非常に重要で、病名が判明することで治療が叶いますが、健康診断での示唆では治療は叶わないという事です。
それは病名がわからないのですから、治療のしようがないということはお分かりいただけるのではないでしょうか。
そして当然ですが、その検査に対する強度やアプローチはまったく異なりますから、
その費用も大きく異なることも、健康診断と精密検査の費用の違いからも想像できることでしょう。
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