ホームインスペクション会社の選び方 その8

前回、住宅診断(ホームインスペクション)と欠陥住宅検査の違いについて、

欠陥に対する【現象】と【原因】に起因する違いがあることをお話しいたしましたが、

ご自宅を調査するにあたって、まずは、この2点の違いに当てはめて、どちらに該当するのかを考えることが第一です。


このことから考えるべきは、何を心配されているのか?


です。



「欠陥住宅ではないか心配だから調べてもらいたい。」とした場合に、

その心配の強度をお考えいただくことが大事です。


 ご想像いただけると思いますが、健康診断とは全身をくまなく調べるものではありません。主要な検査にて『調べた範囲では概ね問題は無いであろう。』とするもので、健康診断結果によって絶対的な安心が得られるのではありません。そして、健康診断と言えど様々なオプションを付加することによって、全身くまなく調べることは可能ですが、相応に費用も増加していくこともご理解いただける事でしょう。

 それでも精密検査よりは安価であろうとは思われますが、その上であっても病気を示唆するものであって、病名を確定させるものではないというところをしっかりと認識する必要があります。


 これを欠陥住宅紛争の側面から考えたとき、以前に申し上げた法律面からの欠陥の捉え方を思い出してください。欠陥は「原因」と「現象」に分別され、法律上の要件は「原因」であるとお話ししました。すなわち、ホームインスペクションは健康診断的な位置づけによる、欠陥の現象を捉える、もしくは現象が生じ得る状態を示唆するものですから、あくまで欠陥の「原因」を示すものではないので、それをもって、紛争や、ましてや裁判に提示できる根拠にはなり得ないのです。



具体的に例示すると・・・※あくまで例えです。



「モルタル外壁のひび割れ(0.3mm)は、雨水侵入の恐れがあるので補修が必要である。」



 これがホームインスペクションの範疇で、欠陥原因が内包している恐れとその現象による懸念が示されます。この場合は、雨水侵入を防ぐ補修費用の要求をすることになりますから、恐らく数万円でしょう。




「モルタル外壁のひび割れ(0.3mm)は、補強ラス欠落により生じたものであり、

雨水侵入、外壁崩落の恐れがあるので外壁のやり直しが必要である。」



 これが欠陥検査であり、ひび割れの原因を示し、それを直すことを要求することになりますから、この場合は、ひび割れを生じさせないための根本的なやり直し費用を要求することになり、範囲等にもよりますが数百万にもなる可能性があります。




 これが業者側と紛争になった際に、相手側が不誠実な対応をしてくる要因の一つでもあります。つまり、瑕疵の立証責任は施主側にあるので、それがなされるまではのらりくらりすれば良いと考えるのです。特に、施主側の検査を入れる旨伝えたときから、露骨に敵対的な対応をしてくるような業者の場合、根拠のない現象を指摘しても、何ら、直そうとしない業者すら存在します。(まぁ、そういう業者は根拠があろうがなかろうが対応しませんが・・・)


 つまり、現象を「直せ。」と言っても、簡易、安価な補修費用程度しか要求できません。

場合によっては美観上の問題として取り扱われ、評価すらされないことも考えられます。それでは、弁護士を雇ったりしなければならないことを鑑みれば費用倒れしてしまいます。その事を踏まえて、業者側は不誠実な対応をしてくるのです。しかし、原因を「直せ。」となれば、部分的な補修しか要求できなかったものが根本からのやり直しを要求できることになり、検査に要した費用も損害賠償額に算入できますから、実質的な負担は実は小さくなる場合もあります。すなわち、費用負担の少ない方法で独力で解決を図ることが必ずしも正解ではないということなのです。


 尚、上述した具体例の通り、ひび割れに対してのことの重大性が全く異なりますが、

ご依頼者様は、その軽重を全く異なる捉え方をする恐れもあります。雨水侵入を防ぐ補修をして貰えれば安心なのだと考えるということで、この例示の場合、根本を直していないので、雨水侵入を防ぐ補修をしても新たにひび割れが生じると考えられます。



 少しお話しが逸れてしまいました。もっとも、費用対効果だけをもって判断をすることではありませんし、ここでは「ホームインスペクション会社の選び方」のお話しですので、

欠陥住宅紛争については、この辺にしておきます。


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