ホームインスペクション会社の選び方 その10
- Deins_official

- 2025年12月22日
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すっかり道半ばとしてしてしまいました。
前回は、ホームインスペクションを依頼するに、ご自身の要望に対するお考えや、その軽重を把握して、目的を明確にすることが第一歩であることのお話をしましたが、それにより、依頼先、依頼内容、その費用などの選定や予測をすることができます。しかし、そのニュアンスは、建築関係者でもない依頼者にとっては、区別のできることではないのかもしれませんが、できる限り自身が何を心配しているのか、というところを正確に捉えることは大事なことです。
さて、すっかり脱線を繰り返して、肝心のホームインスペクション会社の選び方について触れていませんでしたので、ここからは、その点に重点を措いて説明していきます。
ホームインスペクションを行うところは、現在多様な形態に及んでいると言え、具体的には、設計事務所、建築会社、不動産業者、施工会社、調査専門業者、施工店、個人の建築士、個人の施工者といった選択肢があると思います。
つまり、依頼先にはこれだけの選択肢がある上に、各カテゴリーの中でも会社ごとに千差万別の状態にあります。
そこで、まずはカテゴリーの比較から説明したいと思いますが、あくまでも一般的な傾向を示すものであり
、お話しするのはホームインスペクションを依頼するにあたってのものになりますから、欠陥住宅や建築紛争に係る選択にあっては、当然に異なってくることはあらかじめご了承願います。
まず初めに依頼先として頭に浮かぶのは、設計事務所または個人の建築士ではないでしょうか。
建築に係ることですから、設計者、すなわち建築士への相談を考えるでしょう。
しかし、現代では、その業務はかなり細分化されており、その知識は偏った非常に狭い範囲のものであることに注意が必要です。
通常、設計事務所は建物の設計、係る役所との均衡、設計建物の工事監理が主要業務ですが、受注案件が得意とする用途や構造方法に特化することが多く、例えば、老人ホームやアパート建築を主に受注するところは鉄骨造に特化したり、木造ならば注文住宅であったり、または土地の取得から建売分譲の建築が主であったりとか、鉄筋コンクリート造においても、大型のビル・マンション建築に特化するところもあれば、同じ鉄筋コンクリート造でも高級個人住宅を専門にしているなど、医療にも専門分野があるように、日々の業務で培われる知識は、勤める設計事務所、または個人で取り扱う建物に特化してしまい、他の用途や構造方法の建物については、知識を欠いている傾向があります。
さらには、工事監理とは設計者が建物の適切な施工のチェックをするものであるとお考えになるでしょう。確かに、本来はそのように機能しなければならないシステムですが、欠陥住宅被害に遭われる方は年々増えているのが実情でることを踏まえれば、このシステムは形骸化したものでしかありません。この点については、いずれ欠陥住宅に関するところで深掘りしたいと思いますので、ここでは割愛しますが、簡易に云えば、逐一現地に足を運んで、常駐して工事のチェックをするのではありませんから、結局のところ、現場を、ひいては施工を知らないということです。
にもかかわらず、そのプライドは非常に高い方が多く、工事監理は設計のとおりに建物が建築されることを目的とするものですから、周囲の施工者等は設計者の指示に逆らうことはなく、指示された通りに補修などを行います。その光景は、周囲からは猿山の大将、または一昔前の白い巨塔状態です。もちろん、その指摘が適正かつ適度なものであればよいのですが、現場をかき回すだけでしかない存在として疎まれているのが実情であって、そのような方が工事の良し悪しについて、施工状態を見るだけで判断ができるはずがなく、単に無用なプライドからくる、業者いじめでしかない見当違いの過剰なやり直しを指摘をするにすぎません。
その前提にあって、最も除けるべきは、知り合いの建築士に依頼をすることです。
依頼した側は知り合いであるが故に全面的な信頼を措いてしまいますが、上述のように、その知り合いの取扱い分野が合致するのかはわかりませんし、知り合いである以上、依頼された側も本来は無用なことに関わりたくないのが本音であるところ断れないだけでなく、何も答えないわけにもいかない。そうすると、ここでも無用なプライドが顔を出し、もっともらしいことを述べますが、大抵は的外れな役に立たない指摘でしかないことが往々に生じるものです。当然に、所属する事務所、または自身への保身意識が潜在的に働きますから、その指摘程度も当たり障りない程度に忖度されることが多いように思います。
そして、もっとも依頼をしてはならないのは、実務経験に乏しい建築士や、まったく設計業務も建築の現場にも関わったことのないペーパー建築士です。
そのような者ほど、虚栄の中に自分を措くことでしか価値を見出せないタイプです。実務者から見るとその程度が透けて見えるほどに稚拙なのですが、一般の方では、その判別は難しいでしょう。目安としては自分アピールに余念のないことが多いので、目につきやすい方というのは避けておくのが無難です。
一般的に、建築士を病気を治してくれる医者に倣い、建物のお医者さんであるかの表現がなされますが、残念ながら、医者の倫理や正義、法令規制と建築のそれとはまったく比較になるものではありません。
したがって、建築士であるということが、建物について精通し、高度の倫理をもって対応をしてもらえるなどという幻想を抱いてはなりません。


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